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[第四号]沖縄音楽芸能の可能性と危機について

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国際通り三線店メールマガジン
                       http://www.kokusai34.com/
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[第四号]                         2005年6月14日
☆★ Index =============================

 1.こんなやり方いかがですか? ■工工四を書く時の手順を考える

 2.那覇市民大学講座リポート?A ■沖縄音楽芸能の可能性と危機について

 3.店長コラム ■「尺」はどこへ行く!?

============================= Index ★☆

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1.こんなやり方いかがですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■工工四を書く時の手順を考える

沖縄民謡や今はやりの島唄にはまだ工工四になっていない曲がたくさんありま
す。

また、工工四になっている曲でもCDなどの演奏と違っていて、どうしたらいい
のかわからないことも多々あります。

ならば自分で工工四を改良あるいは作ってしまえというわけで、CDを聞きなが
ら工工四を書くときの手順を考えてみました。

まず、既存の「工工四を改良する」場合も、「工工四を新しく作る」場合も、
チンダミ(調弦)が肝心です。

工工四がある場合はまだチンダミしやすいですが、まったくない場合はどうす
るか。

CDの中の三線の一番低い音(繰り返し出てきます)を見つけ出して、それに自
分の三線のウージル(男弦)の開放、つまり「合」をあわせます。

ひとまずその音を基準に本調子にチンダミして、他の音も聴きながら音を出し
て探していきます。

左手の動きに無理があるようなら、二揚げとか、三下げにして、弾きやすい調
弦を見つけていきます。

次に「工工四を改良する」場合には、CDを繰り返し聴きながら、違っていると
ころを既存の工工四のコピーにエンピツでメモしていきます。

「工工四を新しく作る」場合も同様に、CDをとにかく何度も何度も聴きながら、
少しずつ書いていきます。

結局、「何度も繰り返し聴く」ことがコツになりそうです。

ところが、こうして「工工四を改良する、作る」ということは、その曲が弾け
るようになっていくということであり、工工四ができあがった時には工工四が
必要なくなっているという、工工四を書いた苦労が水の泡というか、なんとも
矛盾した結果になってしまいます。

副店長いわく「いつか一緒に弾く人が現れた時のために作ったのだと納得して
ください」。

「まとめ」

?@ 「工工四を改良する」場合には、書き込んでもいいコピーを作っておく。

?A 工工四にしたい曲で弾かれている三線の一番低い音を自分の三線の「合」
にする。

?B まず本調子にチンダミして一緒に弾いてみる。左手が不自然なようなら、
二揚げ、三下げにして試してみる。

?C 繰り返し繰り返し聴きながら、少しずつ書いていく。

*CDやテープの再生速度を遅くできる機能がある場合には、それを活用してゆ
っくり再生したほうが作業はやりやすいかもしれません。

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2.那覇市民大学講座リポート?A
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■沖縄音楽芸能の可能性と危機について(5月6日「てんぶす那覇」にて)

前号に引き続き、5月6日に「那覇市ぶんかテンブス館 」で行なわれた、那覇
市民大学講座の講演をリポートします。


この日は「沖縄伝統芸能の地平(2)〜日本音楽の中の沖縄音楽芸能の可能性を
求めて」というタイトルで、国立歴史民俗博物館名誉教授の小島美子(とみ
こ)さんが、ご自身の採取した音源も披露されながら、非常に具体的に沖縄音
楽芸能の特徴と問題点についてお話してくれました(以下の引用らしきものは、
私の要約でかならずしも小島さんの言葉どおりではありません)。

ご登場された小島さんは75歳とは思えない若々しさで、身振り手振りも生き生
きとお話されました。

とくに印象に残ったのは、芸能の話よりも、小島さんのカチャーシーの振りの
見事さでした。

カチャーシーが沖縄芸能の源流になっているということで、それは海洋漁労民
的なリズムなのだというのです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
琉球舞踊の基礎にカチャーシーがあるといっていいのに、カチャーシーを踊れ
ない舞踊の先生方がおられるのはたいへんなことだ。

カチャーシーは縦の動き、つまり波の揺れの動きを表現している。

今の若い人たちは身体を横に振るようにしてカチャーシーを踊っていてまずい。
きちんとしたカチャーシーを教えていかないといけない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

私などもカチャーシーの踊り方を教える時に、手の平を横に動かしていました。
これではまずかったわけです。

小島さんがお話されながら動かしていた縦の身体の動きは非常に印象的で、ま
さしく波の上に浮かぶサバニ(沖縄の釣舟)の動きのようでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
言霊という言葉があるように、私は歌霊というものがあると思う。歌うことに
よって生きる力を得る。

沖縄・奄美では歌は暮らしの中にまさに生きていることに衝撃を受けた。

ただ、今のままだと「生きていた」ということになる可能性もある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

この危機は、沖縄方言のわらべ歌を歌った世代と、本土のわらべ歌を歌った世
代の間の断絶から生じているというのです。

わらべ歌をつうじて沖縄の言葉を自然に学ぶということがなくなり、カチャー
シーを踊るいろいろな場面に出会って自然にリズムを学ぶということもなくな
ってきたというのです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
日本の音楽教育が西洋音楽一辺倒できた弊害は、この沖縄にも現れているどこ
ろか、大和化と西洋化という二重の弊害がある。

西洋クラシックのリズムは牧畜民的・騎馬民的なもの。バレエの爪先立ちを見
るとよく分かるが、あれは馬の踊りの模写だ。

韓国の三拍子の特徴は初めの一柏が重く、これはまさに馬に乗って感じるリズ
ムである。

日本には水田稲作農耕民的リズム、山村畑作民的リズム、海洋漁労民的リズム、
狩猟民的リズムはあるが、牧畜民的・騎馬民的リズムはなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

このあたりのお話はとても興味深いのですが、理解の届かないところもあって、
うまくお伝えできません。

ただ、日本の音楽教育については、かなり批判的、むしろ否定的でした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
沖縄の音楽芸能の復権のためには、方言のわらべ歌とカチャーシーを意図的に
教える必要がある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ですから、とくにカチャーシーを教えられない音楽教師は存在意味がないとお
っしゃるのです。手厳しいですね。

この他にも沖縄音階の特徴や、節回し、発声法、歌の形式など、盛りだくさん
のお話でした。

そのなかで三線に関しては、前回の池宮さんと同様に器楽としての発展が必要
だというお立場でした。

とくに古典を学ぶものにとって非常に刺激的だったのは、工工四に書かれてい
るさまざまな指示の再検討も必要ではないかというお話でした。

つまり、当時の歌い方のままを保存するのではなく、継承し発展させることが
必要で、そのためには現代的な歌い方の工夫も検討されるべきだというわけで
す。

ただ何も考えずに指示記号の歌い方を教えるのではダメで、なぜここではこう
した指示が書かれているのかとことん考え、教えないといけないと言われまし
た。

非常に難しい課題ですが、一つの宿題として胸に刻んでおきたいと思いました。

●終わりに
この二回の講座をつうじて、沖縄芸能の陥っている問題点が少し見えてきた感
じがします。

沖縄には他の日本の地方に比べれば伝統芸能が残っているように見えて、意外
と伝えるという作業がないがしろにされてきたのではないかということです。

このまま行くと、音楽・芸能産業の賑やかさのなかで、基礎の部分が抜け落ち
た、浮ついた形骸だけが残るというようなことになりかねません。

私も古典音楽の継承と発展のために、できるかぎりのことをしたいと思いまし
た。

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3.店長コラム
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■「尺」はどこへ行く!?

小島先生の講演の際に私もひとつ質問しました。

それは、三線の「尺」の音の高さについてで、どうして近年、徐々に高くなっ
ているのか聞いてみました。

東京で通っていた教室の師匠から、小島先生はその著書の中で「昔のほうが
『尺』の音は低かった」と書いていると聞いていましたので、今回の講演では
ぜひそのことを伺ってみようと思っていたのです。

どういうことかといいますと、例えば古典音楽の「伊野波節」の場合に、沖縄
タイムスのコンクールなどでは、「尺」をドレミでいう「シ」の音で弾かなけ
ればならなくなっているようなのです。

たしかに古典の曲のなかには少し深めに(つまり高めに)弾かなければならな
いものもあります。

いわば「ラ♯」と「シ」の中間あたりなのですが、しかし、「シ」そのもので
はありません。

ところが、最近はいよいよ「シ」の音に近づいているようで、個人的に危惧し
ていました。

小島先生の答えは、

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「尺」は「シ」とイコールではない

もともと「尺」には「低いもの」「高いもの」と何種類かあるが、最近は西洋
音楽を聞きなれているせいか、「シ」の音で弾いても違和感がなくなっている
ようだ

しかし、どの曲でも「シ」の音にすればいいわけではなく、それぞれの曲で高
さを変えざるをえない

ただコンクールとなると「シ」で弾かなければならない場合もあり、それは
「コンクール」ということで妥協せざるをえないでしょう
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ということでした。

本来、三線の調弦は純正調で、ピアノの音に代表される平均率とは違っている
はずです。

それが、これまでの西洋音楽一辺倒の日本の音楽教育のために、平均率の音が
正しい音であるという「常識」(昨今の「絶対音感」ばやりもその一例です
が)がまかり通り、ピアノの音に合わせるのが正しいと思われているのではな
いでしょうか。

私はこれは非常に危険な兆候であり、間違った方向へ向かっているのではない
かと思っています。

西洋楽器との共演には便利かもしれませんが、民謡も古典も、その本来の音階
からズレてしまうわけで、それに慣れてしまうともともとの曲の姿がわからな
くなってしまうのではないかと思っています。

単なる取り越し苦労であればよいのですが。


▼▼編集後記▼▼

第四号をお届けいたしました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この頃だんだんと暑くなってきていた沖縄ですが、糸満ハーリーが終わった後
から梅雨らしい雨が降るようになりました。

これで夏の水枯れは心配ないなと思ったりしています。

6月はコンクールの季節。

湿度が高くて三線や喉のコンディションを整えるのが大変ですが、日頃の稽古
の成果を発揮していただきたいと念じております。

では、またお目にかかります。

◎読者の方からのご意見・ご感想お待ちしております。
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