[第二号]組踊「執心鐘入」を聞く(国立劇場おきなわ公演にて)
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国際通り三線店メールマガジン
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[創刊第二号] 2005年5月6日
☆★ Index ============================
1.新着情報 ■日本テレビの土曜ドラマ「瑠璃の島」に協力しています!
2.組踊を聞く ■執心鐘入(4月24日「国立劇場おきなわ」公演にて)
3.副店長コラム ■迷う工工四
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1.新着情報
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■日本テレビの土曜ドラマ「瑠璃の島」に協力しています!
ご存知の方もあるかもしれませんが、鳩間島を舞台にしている日テレの「瑠璃
の島」に、当店が三線を提供しています。
先日の第三話では、緒方拳さんが爪弾いていました。
エンドロールの「美術協力」のところに当店の店名も出てきます。
明日7日土曜日の午後9時から第四話の放送です。お時間のある方は、最後まで
ご覧になって、エンドロールにも目を凝らしてみてください。
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2.組踊を聞く
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■執心鐘入(4月24日「国立劇場おきなわ」公演にて)
4月23・24日と上演された「国立劇場おきなわ」での「執心鐘入」。24日の公
演を聞きにいってきました。
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[配役]
中城若松 新垣 悟(宮城本流鳳乃会)
宿の女役 東江裕吉(玉城流玉扇福珠会)
座主 石川直也(玉城流てだの会)
小僧(一) 平田智之(玉城流琉扇会)
小僧(二) 具志幸大(玉城琉いずみ会)
小僧(三) 嘉数道彦(宮城琉)
鬼女 佐辺良和(世舞会)
後見 呉屋 智(宮城本流鳳乃会)
[地謡]
歌・三線 西江喜春・花城英樹・比嘉寿朗(安冨祖流絃声会)
箏 上地律子(琉球箏曲興陽会)
笛 宮城英夫(安冨祖流絃声会)
胡弓 崎濱秀貴(野村流音楽協会)
太鼓 金城盛松(光史流太鼓保存会)
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「執心鐘入」は非常に有名な組踊で、最近では中学生中心の公演などもあるく
らいです。
はじめての「国立劇場おきなわ」でしたが、スタッフの対応も初々しく微笑ま
しく思いました。
お客さんの入りは8割強という感じ。
第一部は琉球舞踊で、組踊のなかで踊られる曲を独立の舞踊にした演目です。
一、道輪口説(「義臣物語」) 棚原由里子・赤嶺律子・花岡尚子
二、坂本節(「万歳敵討」) 池城智子・山里秀乃・具志なおみ
三、薙刀舞(いろいろな組踊で踊られる) 名嘉久江・与儀美幸
四、女こてい節(「大川的討」) 前田千加子
いずれもしっかりした踊り手によるもので、落ち着いて観られましたが、とく
に前田千加子さんの「女こてい節」に惹きつけられました。
ひとつ気になったのは、薙刀舞の踊り手の一人が茶髪だったことで、これは興
を殺ぐものでした。
さて、いよいよ第二部の組踊「執心鐘入」です。
組踊の創始者・玉城朝薫の作った五つの組踊(朝薫五番、または五番と呼ばれ
る)のうちの一つで、男女の愛憎を描いた作品です。
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[あらすじ]
首里王府に奉公に向かう美男で名高い中城若松は道中日暮れてしまい、偶然見
つけた家に宿を借りたいと申し込みます。
宿で留守番をしていた女は、親が居ないので無理だと断るのですが、相手が若
松だと知ると、急に態度を改めて、招き入れます。
休んでいる若松を、無理に起こして誘惑しますが、若松は無下に断り、その家
から逃げますが、女も決死の覚悟で追いかけます。
末吉の寺に助けを求めてきた若松を、寺の住職・座主が寺の鐘の中に隠し、小
僧たちに追ってきた女を寺に入れないよう命じます。
小僧たちは若松と聞いて興味津々、追ってきた女も、つい情にほだされて、寺
の中に入れてしまいます。
異変に気づいた座主は隙を見て若松を鐘から救い出し難を逃れます。
女は探し回ったあげく、怪しいと睨んだ鐘に鬼に変身して取り付きます。
座主と小僧たちは念仏を唱えて鬼女を追い払おうとします。鬼女もとうとう法
力に打ち負かされて退散します。
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「国立劇場おきなわ」では、舞台の両サイドに電光掲示板が設置されていて、
唱えや歌詞の大意がテロップで表示されます。これは、公演途中で舞台から目
を離してプログラムとにらめっこをしなくて済むので、実に便利です。
組踊は話の筋を追うのもいいのですが、なかで唄われる歌が一番の聞きどころ
です。
「執心鐘入」の場合、とくに女の気持ちの変化を唄で表現しています。
始めは親がいないので泊めるわけにはいかないと言っていたのに、若松だと知
ると、一転、これはチャンスだとばかり泊めることなります。
その時、干瀬節で以下の歌詞が唄われます。
里とみば何よでいやで言め御宿 冬の夜のよすが互に語やびら
(貴方と知っていたならば、何で宿をお断りできましょうか。冬の夜をゆっく
り語り合いましょう。)
ところが、女の誘惑に対して、若松はやはりまだ子どもなのでしょう、すげな
く断ります。
そこで、ふたたび干瀬節に乗せて、次の歌詞が唄われます。
及ばらん里と兼ねてから知らば 何よで悪縁の袖に結べやが
(心の通じない貴方と初めから知っていたならば、何で私は貴方に悪縁を結ぼ
うとするでしょう。)
貴方だって分かっていたはずだと、あくまでも思いを遂げようというわけです。
しかし、若松はかたくなに拒絶し、首里に行くのだと言って、逃げ出します。
女は、もう結ばれた悪縁なのだから離れられない、一緒に死ぬと決意します。
この決意がまた干瀬節で、次のように歌われます。
悪縁の結で放ち放されめ 振り捨てて行かば一道でぃもの
(悪縁は結ばれてしまって引き離すことはできない。それでも私を振り捨てて
行くのなら一緒に死ぬまでだ。)
この後半の歌詞を唄う時に、干瀬節のテンポが少し上り、切迫した思いを伝え
るかのようです。
公演当日、一曲目と二曲目の歌・三線は若い花城さんと比嘉さんが担当されて
いました。そして三曲目、つまり女の決意を唄われたのはベテランの西江さん
で、さすがに先のお二人とは声量も表現の深さも違っていました。
若松を追ってきた女が寺のなかを探し回る場面では、散山節に乗せて次の歌詞
が唄われます。
此世居て里や御縁無いさらめ 一人こがれとて死ぬが心気
(この世での貴方とのご縁がなくなってしまい 一人恋焦がれたまま死ぬのは
つらい)
次の場面で女は鬼女に変身してしまいます。その直前での散山節は死に別れの
唄と言われ、息も長くて唄うのがとても難しいのですが、ここも西江さんが見
事に唄われていました。
「執心鐘入」では、このように女の心の変化が唄で表現されます。それを男性
が三線に乗せて唄うことによって、ある客観性が生まれ、単なる男女の愛憎劇
から、より抽象度の高い人間ドラマへと深まっているように思います。
歌が唄われる場面がなんと言っても密度が濃く、見所聞き所といえます。それ
に比して、小僧三人の掛け合いや、パントマイムでのコミカルな場面は、今日
的な演出での一工夫が必要なのではないかと思いました。
今回の公演は若手の配役でしたので、朝薫時代の王府で青年たちによって演じ
られていたのを想像させるものだったと思います。
「組踊を聞きに行く」と昔の人は言っていたそうですが、その意味がなんとな
くわかった気がした今回の公演でした。
次回の「国立劇場おきなわ」の組踊公演も聞きにいき、メルマガでも取り上げ
る予定です。
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3.副店長コラム
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■迷う工工四
三線を始める時に感じる壁の一つに工工四があるように思います。漢字が縦に
並んでいて、それだけで難しそうに見えますよね。
でも、押さえる場所の記号だとわかれば、なんてことないのです。二時間もあ
れば、ほとんど理解できます。
私は五線譜を見て楽器を弾くことはできないので、工工四のほうがむしろあり
がたいですね。
ところが、困るなぁと思うこともあります。
たとえば、初めての曲が「安里屋ユンタ」だとしたら、何かの縁で手にした工
工四を使って練習します。そのお手本にとCDなどを聞いたりすると、いろい
ろ疑問が生まれます。
・自分が弾いている三線とCDで聞いている三線の手が違う。
・他のいろいろな曲を弾きたくて工工四集を購入すると、それに載っている
「安里屋ユンタ」が自分の持っているの少し違う。
・やりたかった別の曲を練習し始めたら、これまた好きで聞いていて耳になじ
んだCDと違う。
・曲のとおりの工工四がほとんど出版されていない。あっちにはこう、こっち
にはこう書いてある。どれが正しいのか。
結局のところ、工工四はどれもが正しいらしいということになるのですが、初
心の頃は、どうしてこんなことになっているのか非常に疑問でした。
古典の場合は、野村流なら野村流で一つの工工四があります。でも、民謡の場
合は、一人ひとりの唄い方・弾き方が大切にされるようです。
ただ、私たちが教室や愛好会で練習する場合は、教室の先生や先輩が使ってい
る工工四に統一して練習しますし、合奏することになります。
一人で唄う時には、自分が気に入った弾き方や唄い方でやってもいいかなと思
います。
それをメモしていけば、自分オリジナルの工工四ができあがりますね。
・昔からの唄を伝承するという点から考えると、このことはどうなんだろう。
・伝承している人の手を真似るしかないのか。
・伝えていくということはどうしたらできるのか。
迷いは続きます。
▼▼編集後記▼▼
ようやく第二号をお届けしました。最後まで読んでいただき、ありがとうござ
います。
組踊については少し長くなってしまい、興味のない方にはつらかったかもしれ
ません。
ただ、とても鑑賞しやすい公演だったと思いますので、皆さんもチャンスがあ
りましたら、「国立劇場おきなわ」へ足を運ばれるといいと思います。
次号では、那覇ぶんかテンブス館での市民大学講座「沖縄伝統芸能の地平」に
ついてレポートします。お楽しみに。
では、またお目にかかります。
◎読者の方からのご意見・ご感想お待ちしております。
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